2014年に起きたビットコイン(BitCoin:BTC)取引所マウントゴックス(Mt.Gox)の資産流出事件について、7月6日、管財人の小林信明弁護士は債権者に対して弁済手続きの書簡を送付した。
マウントゴックスは2009年ジェド・マケーレブ(Jed McCaleb)氏が東京で設立したトレーディングカードの交換所である。2010年からビットコインの交換事業に転換し、2013年には全世界のビットコイン取引量の70%を扱うまでになった。
しかし、2014年2月、顧客が保有するビットコイン75万BTC枚と自社保有分の10万BTC、さらに28億円の資金の流出が判明し、マウントゴックスは経営破綻した。破綻後、マウントゴックスにビットコイン20万BTCが残っていることを確認でき、凍結された。
2018年、債権者集会の場で、資金調達のために24,658BTC(当時2億6千万円相当)を売却したことが明らかになった。2021年11月、被害に遭った投資家へ弁済するための再生計画(Rehabilitation Plan)が発表された。
7月6日に送付した債権者に対する書簡では、合計13.7万BTCを米ドル、ビットコイン、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash:BCH)で受け取るか否かを確認した。このことは、債権者への弁済の日が近いことを意味する。
しかし、暗号通貨アナリストのマイルズ・ドイッチャー(Miles Deutscher)氏は「13.7万BTCの放出が売り圧力を強め、ビットコインが大暴落する可能性がある」と指摘した。さらに、ビットコインが1万ドルまで下落し、イーサリアムが現在の価格から30%上昇した場合、フリップニング(Flippening:イーサリアムの時価総額がビットコインの時価総額を追い抜くこと)が起こり得る。
2022年5月、アルゴリズム・ステーブルコインのUSTの価格が1ドルから乖離すると、テラ(Terra)の非営利組織であるルナファウンデーションガード(Luna Foundation Guard:LFG)は準備金として保有するビットコイン8万BTC以上を売却した。この時、市場は売り圧力を吸収したため、ビットコインの価格への影響はごくわずかだった。しかし、その数週間後、USTの崩壊によりビットコインは下落した。
市場はマウントゴックスの弁済によるビットコインの売り圧力を吸収できる可能性がある。しかし、初期のビットコイン保有者がコインを手放すということは、低迷している暗号通貨市場にとって悪いニュースとなるだろう。
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