仮想通貨の税金、改正に向け議論始まる 交換での課税繰り延べには道筋も
https://dialog-news.com/2018/03/22/kasou0322/仮想通貨の税制への議論が始まったようですね。
上記記事によると分離課税と通貨同士の交換について議論されたようです。
まず維新の藤巻議員が主張する分離課税の根拠は次の二つ。
①ブロックチェーンの技術や市場を育てるため
②税の公平性の観点
抜粋の記事なので断言できませんが、ブロックチェーンを税制面から優遇しつつ課税の公平性を求める議員の主張は矛盾してると感じます。
藤巻議員の主張は、すでに分離課税を適用している株や為替と仮想通貨を「公平に」扱うべきという主張でしょうが、そもそも株や為替の分離課税は課税の公平性という原則の例外です。
まず課税の公平という憲法上の原則があり、そのあとで分離課税という措置法による政策的な例外を設けているというのが現行法の順序です。株や為替は不公平な扱いを受けているんですね。
ですから課税の公平を根拠にして分離課税を求めるのは相当アクロバティックな論理展開になってしまう。無理筋でしょう。
主税局長からの「分離課税のためには政策により支援する(つまり措置法等による立法)が必要」という応答は妥当だと感じます。
また通貨同士の交換に課税されることについては、あまりに複雑な計算となり過ぎるという藤巻議員の主張は理解できます。
一方、主税局長からの為替と同様の取り扱いをしているという対応も現行法ではやむを得ないものと感じます。
そしてここでの結論も、もし課税の繰り延べを認めるなら政策的配慮が必要ということですね。
分離課税にせよ、交換時の課税の繰り延べにせよ、立法が必要になるという点で整理されたのではないでしょうか。
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20180324追記
上記議論の動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=4j_dRQQApYw大筋はブログにまとめられた通りでしたね。
ひとつだけ補足すると政策的に分離課税を行うに当たって行政としてはまず投資家保護規制が必要だという話があったことでしょうか。
議論の中でその理由に言及されていませんが、おそらくはまずリスクの高い金融商品であること。
加えて、すでに分離課税が設けられているFXでは、日本の行政に登録されたFX業者で生じた所得は分離課税を受けられるが、
登録されていない業者の取引で生じた所得は分離課税ではなく総合課税としているという、課税方法がすでにあるからでしょうか。
つまりFXでは投資家保護規制と課税の方法とが直接連動しているんですね。
仮想通貨の規制と課税も、この方向で進めば登録業者で生じた所得は分離課税、無登録業者で生じた所得は総合課税、というFXと同じ形になるかもしれません。
最近は金融庁が登録業者へ業務停止・改善命令が出したり、バイナンスに警告を出したりと、行政の行う規制が相場に影響する事例が増えてきました。
それで損をしたりハッカー文化の本質から疎ましく思う人もいるでしょうが、国として税制で優遇するための地ならしだという見方も出来るのではないでしょうか。