内部告発団体のEmpower Oversight Whistleblowers&Research(EMPOWR)は、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission :SEC)のウィリアム・ヒンマン(William Hinman)前長官が、リップル社に対する法的措置を行う一方で、利益相反に当たる証拠の詳細を公開。本当に公平な組織として信頼できるかという疑念がSECに向けられたのである。
EMPOWRとは政府および企業の不正行為に対する独立した監視目的の非営利、無党派の団体である。当局は内部告発者の法定代理人を提供するなど法的支援リソースを提供しており、内部関係者による当局への汚職事情等の報告に基づいて行動する。
EMPOWRは現在進行中のSEC対リップルの訴訟に関連する情報を公開した。200ページの報告書に、元SEC長官のヒンマン氏が、ニューヨークの法律事務所シンプソン・サッチャー(Simpson Thacher)を通じてエンタープライズ向けのイーサリアムの標準化を目指す非営利団体のEthereum Enterprise Alliance(EEA)に関与していることの詳細情報が記載されている。
2020年12月、リップル社のネイティブトークンであるリップル(Ripple:XRP)の販売は、無登録証券を販売する行為として、SECにより訴訟手続きが開始された。その訴訟における重要なポイントは、リップルはビットコイン(BitCoin:BTC)やイーサリアム(Ethereum:ETH)と同等であるのかどうかということだ。
2018年6月、ヒンマン氏は講演で、「リップルは証券であるが、ビットコインとイーサリアムは証券ではない」と明かしたが、リップル社の弁護団は、ヒンマン氏に対し、どのような根拠でリップルはビットコイン及びイーサリアムと同等でないのか説明を求めた。
しかし、昨年、ヒンマン氏がシンプソン・サッチャーから年額160万ドルの年金を受け取っていることが明らかになった。しかも、この金銭は彼が現役のSEC理事であった時(2018年6月の講演時)に支払われたものである。シンプソン・サッチャーはEthereum Enterprise Allianceのメンバーであるため、イーサリアムは「証券ではない」というステータスになったのではないかという疑惑が生まれた。
EMPOWRの告発はリップル社の訴訟に直接的な影響はないと思われたが、SECの信頼性に疑念が向けられる結果となった。
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